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腹部大動脈瘤の拡大をオステオプロテゲリンが抑制する

腹部大動脈瘤で10万人に16,403人が2014年に亡くなっています。腹部大動脈瘤が破裂すると治療しても救命率は50%と低い数字になっています。

腹部大動脈が見つかった場合には、人工血管との取り替え、血管内ステントによる血管の強度を上昇することによって、大動脈瘤の破裂や解離を防ぎます。

腹部大動脈瘤の破裂や解離に薬物的な治療はありません。広島大学は骨粗鬆症で骨吸収を阻害しているオステオプロテゲリンが大動脈瘤の進展を抑える可能性があることを動物実験で示しました。

 

腹部大動脈瘤

厚生労働省の2014年人口動態統計によると、大動脈瘤あるいは解離により死亡したのは16,403人です(人口10万人あたりの死亡数は13.1人)

腹部大動脈瘤は腹部大動脈にできた瘤です。内部は層状の血栓が覆っています。原因はアテローム硬化によって動脈壁が脆弱化することです。一部の動脈壁が血圧で膨らみ、紡錘型に盛り上がります。

腹部動脈瘤が発生しても、ほとんどの人で無症状です。健康診断や他の病気の検査を行ったときに発見する場合が多くなっています。

腹部大動脈は一定の速度で拡大するものや、指数関数的に増大するものがあります。しかし、約20%が恒久的に同じ大きさです。

腹部大動脈が破裂するとそのままではほとんどの人が死に至ります。治療を行った場合でも救命率は50%です。そのため、腹部大動脈の状態での治療が必要になります。

治療には、動脈瘤ができている部分を人工血管に置き換える。動脈瘤を有する血管内に大腿動脈経由で血管内にステントを挿入して動脈瘤の破裂を防ぐ等の治療法があります。人工血管に比較して、血管内にステントを挿入する場合は侵襲性が低くなりますが、0にはなりません。

血管内にステントを挿入する場合、短期的には(1年程度)結果は有効ですが、長期にわたる有効性については明らかにはなっていません。

薬剤等に治療は今のところ有効なものはありません。高血圧、アテローム硬化を改善することが大切です。しかし、血圧に関しては日常生活の中で急激に変化することがあり、そのような行動はなるべき避ける必要があります。

 

  1. 急に荷物を持ち上げる
  2. 排便時の力み
  3. 温かいところから寒いところにでる
  4. 入浴時
    脱衣場と浴室の温度差

浴室とお湯の温度差

  1. 運動に関しては肥満に効果があるので止める必要はないが、息切れ、胸がドキドキするなどの症状がある場合には主治医に注意が必要


血圧が急激に変化する状況

 

広島大学の研究

図1 オステオプロテゲリンの働き

図1 オステオプロテゲリンの働き

広島大学大学院医歯薬保健学研究院は2007年、骨粗鬆症の抑制因子であるオステオプロテゲリンが血管の石灰化を抑制することを発表していました。

2016年にはオステオプロテゲリンが実際に腹部大動脈の進展を止めることをマウスで証明しました。

実験方法はオステオプロテゲリン欠損マウスと正常マウスでの実験的に作成した腹部大動脈の進展を比較したものです。

オステオプロテゲリン欠損マウスでは、正常マウスに比べて動脈瘤の拡大が著しいことが判明しました。

骨粗鬆症に対するオステオプロテゲリンはRANKL(破骨細胞性骨吸収を上げる受容体)を介して効果を発揮します。大動脈瘤に対する効果はTRAIL(細胞の生死を調整する受容体)を介してのものであることを明らかにしました。

TRAILは大動脈では石灰沈着と血管内プラークを安定化することによってアテローム硬化を進展します。オステオプロテゲリンはその作用を阻害します。

 

オステオプロテゲリンの医薬品としての可能性

オステオプロテゲリンは腫瘍壊死因子(TNF:Tumor Necrosis Factor)ファミリーの1つです。

骨は体を支えるだけでなく、カルシウムの保管場所として重要な働きがあります。カルシウムが不足した場合には破骨細胞が働いて骨からカルシウムを放出します(骨吸収)。カルシウムが余っているときには、ビタミンDの働きで、骨がカルシウムを吸収します。このカルシウム調節作用を骨代謝と呼びます。骨粗鬆症は骨吸収が有意になったものです。

骨代謝においては、破骨細胞の骨吸収を防ぐ作用を示します。骨粗鬆症の治療に関してはビタミンDなどの薬剤があるため、オステオプロテゲリンを直接使うアプローチはありません。

腹部大動脈の薬剤治療は存在しないことから、オステオプロテゲリンを静注することによって、治療の可能性があります。直接オステオプロテゲリンを投与する以外に、TRAILを阻害する化合物の発見が腹部大動脈の薬物治療の開発につながる可能性があります。

 

【参考資料】

広島大学 ニュースリリース 2016年1月19日「骨粗鬆症抑制因子のオステオプロテゲリンが腹部大動脈瘤の拡大を抑制することを発見~大動脈瘤の治療へ新しい可能性~」

http://www.hiroshima-u.ac.jp/top/koho_press/press/h2801-12/p_mq9qyv.html

 

B, Kokubo H, Kamata R, Fujii M, Yoshimura K, Aoki H, et al. Osteoprotegerin Prevents Development of Abdominal Aortic Aneurysms. PLoS ONE 11(1): e0147088.(2016)

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0147088

 

厚生労働省 人口動態月報年数(概数)の状況

第10表 主な死因の死亡数・死亡率(人口10万対),都道府県(21大都市再掲)別

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai14/dl/h10.pdf

 

メルクマニュアル18版 動脈瘤:大動脈とその分枝の疾患

http://merckmanual.jp/mmpej/sec07/ch079/ch079b.html#sec07-ch079-ch079b-1550

 

図1は広島大学プレスリリースより

 


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