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新しい制がん剤

がん細胞の免疫不活化機序をターゲットにした免疫チェックポイント阻害剤

小野薬品工業が2014年に世界で初めてのがん細胞が免疫反応を逃れることを作用機序とした免疫チェックポイント阻害剤のヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(商品名:オプジーボ)を根治切除不能な悪性黒色腫を効能に販売を開始しました。

2015年12月には切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に適応拡大の製造販売申請が認可を受けました。

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図 1 オブジーボの製品写真

新しい制がん剤として話題を呼んでいる免疫チェックポイント阻害剤の制がん剤の中での位置づけと利点と欠点についてお話しします。

免疫療法剤の歴史

がんの免疫療法剤の歴史は、1890年のがん患者に対して細菌を投与して、体の免疫反応を活発することでがんを小さくすることができることの発見に始まります。これは制がん剤や放射線療法のがんへの応用よりも古いことです。

細菌を投与する代わりに細胞由来のBCGやキノコなどで取り出した「非特異的免疫賦活薬」が免疫療法剤として薬剤費の1位をとったこともありましたが、がんに対する効果は弱いものであることが判明したことから、あまり使用することはなくなりました。

インターフェロンの発見に始まる体内の免疫を刺激する物質「サイトカイン」を使った免疫療法が始まりました。

非特異的免疫療法とは異なり、がん細胞特有の免疫を活性化する方法も開発を行っています。免疫細胞を取り出し、がんに対する攻撃力を高めた後に体に戻す、サイトカイン刺激リンパ球を使ったLAK療法が行われています。

がん細胞を認識するためにB細胞が行っている抗体を利用して、抗体医薬も開発を行われています。

免疫療法剤と化学療法剤の相性は悪い

化学療法剤はがん細胞が細胞分裂が盛んであることに目を付けて、その部分に干渉することによって、がん細胞を細胞死させることによって効果を発揮します。

免疫療法の中心である免疫細胞は、がん細胞が体内で発生してから幹細胞が分裂することによってがんを叩きに行きます

化学療法剤はがん細胞と免疫細胞を区別することはできません。免疫細胞の分裂にも干渉することからヒトの免疫作用を下げてしまいます。

免疫チェックポイント阻害剤

1992年に京都大学はPD-1(Programmed cell death 1)という遺伝子を単離・同定しました。PD-1欠損マウスは脾腫、血中免疫グロブリンの増加、脾B細胞の抗IgM刺激に対する反応性亢進を来し、自己免疫病に似ている病態を示しました。

がん細胞の中ではPD-L1を発現していることから、免疫細胞PD-1のと結合することによって、免疫を抑えています。

つまり、がん細胞はもともと免疫から逃れる手段を持っていたことが判明しました。

そこでPD-1をターゲットとした抗体医薬品の開発が始まり、2014年に小野薬品工業のオプジーボの製造販売申請に対する認可と薬価収載がありました。

今のところ、日本で使えるがんは悪性黒色腫と進行・再発の非小細胞肺癌です。

PD-1抗体以外にがん細胞側のPDL-1に対する抗体も臨床検討中です。

PD-1以外にもCTLA-4がT細胞の活性化を下げる方向にいて腫瘍免疫反応を亢進し、抗腫瘍効果を発揮します。悪性黒色腫に対する薬価を「ヤーボイ」という商品名で取得しています。

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図 2 ヤーボイの製品写真

免疫チェックポイント阻害剤の効果

悪性黒色腫、非小細胞肺癌に対して対照薬に対して生存率が有意に延長しました。

ただし、術後補助療法に関しては試験が行われていないことから効果に対しては不明です。

免疫チェックポイント阻害剤の欠点

もともと自己免疫の研究から見つかった作用機序であることから、自己免疫疾患の発症の危惧があります。

既に臨床の場で、間質性肺炎、重症筋無力症、乾癬の報告があることから、安全性については慎重に観察する必要があります。

また、臨床では腫瘍組織でPD-1の発現率が1%未満の症例がありました。少数例の検討ですが、その場合にも効果はあります。

今後の検討課題

他の抗体医薬品の様にPD-1あるいはPDL-1の発現を簡単に測定できるキットの開発が必要と思います。

自己免疫性の副作用発現例を検討することによって、自己免疫疾患の発症機序が明らかになるかもしれません。

薬価が非常に高い。1回の治療で800万円近くの薬剤費となります。肺がんの包括治療では病院の持ち出しということになります。そのため、包括治療からは除外となっています。言い換えると従来の肺がんの薬剤費や入院費をひっくるめたコストよりも、薬剤費の方が高いということです。

対象の異なる免疫チェックポイント阻害剤の併用も想定できますが、効果よりも副作用に併用効果が出る可能性があるため、臨床試験データが出てから行う方が倫理的には正しいと思います。

まとめ

免疫チェックポイント阻害剤はがん細胞がヒトの免疫細胞を抑えることを阻害して、免疫細胞を活性化して抗腫瘍効果を発揮する新しいタイプの制がん剤です。

効果と安全性を天秤にかけて厚生労働省は認可しましたが、薬価は他の制がん剤に比べて高価となっています。

自己免疫疾患が発生したという報告があるので、投与後に慎重に観察する必要があります。

 

【参考資料】

がん免疫.jp

http://www.immunooncology.jp/medical/?utm_source=onc&utm_medium=c-panel&utm_content=top&utm_campaign=onc-io

審議結果報告書 オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg

http://www.pmda.go.jp/drugs/2014/P201400114/180188000_22600AMX00768_A100_1.pdf

悪性黒色腫

http://www.pmda.go.jp/drugs/2015/P20151222005/180188000_22600AMX00768_A100_1.pdf

非作用細胞肺癌

図1 小野薬品工業株式会社 プレスリリース

https://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n15_1217.pdf

図2 ブリストル・マイヤーズ株式会社 プレスリリース

http://www.bms.co.jp/press/20150831.html


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