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拡大治験に関して

2016年1月22日、厚生労働省は医薬品の臨床試験の実機の基準に関する省令(GCP:Good Clinical Practice)の1部を改正して、拡大治験に関する基準を定めました。拡大治験とは

「人道的見地から実施される治験」と定義しています。

図 1 厚生労働省

図 1 厚生労働省

拡大治験を導入するまでの状況

海外で許可を得ているが、日本では製造販売承認を受けていない薬剤を使用する場合には医者を通して個人輸入するほかありませんでした。

海外でも許可を受けていないが、承認申請を行っている薬剤の場合には、日本で治験が実施中であってもその薬剤は手に入れることは不可能でした。

諸外国の状況

既存の治療において十分な治療法がない、すぐに生命を脅かす疾病または日々の生活に重大な影響がある重篤な疾患の患者がいた場合には既に諸外国では治験を行うことが可能になっています。

各国とも当該未承認薬の臨床試験に悪影響を与えない。治験に参加できない合理的な理由があることを前提条件としています。

実施条件は国によって異なります。

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図 2 小児治療のイメージ

アメリカ

対象例数によって実施条件が変わります。患者個人ベースではベネフィットがリスクを上回る場合に使用が可能となります。

少数例での試験では最低限の治療成績が明らかになっている必要があります。申請用の主たる試験でなくても、投与量設定試験あるいは推奨用量による治療成績が出ていることが必要です

 大人数の場合には、すべての治験が終了しており、申請が計画中であることが条件となっています。

イギリス

個人の希望に対して、適応外薬の使用を許しています。治験そのものは許可していません。

フランス

一定期間内に承認申請の見込みの薬剤で治験が行われます。1年ごとに試験の延長手続きが必要となります。

ドイツ

EU承認申請または治験実施の実績があれば申請は可能です。

 

各国の実施状況

アメリカでは2013年10月1日~2014年9月30日までに71件の実績があります。

ドイツでは2015年6月に13件が実施中となっていました。

フランスはドイツと同じ時期に23件の治験が行われていました。

日本における拡大治験

新薬審査の中で、主たる治験と取り扱う治験が終了しているまたはその治験の省令組み入れが終了していることが実施条件となります。

拡大治験の実施条件

既存の治療において十分に有効な治療方法がない、 すぐに生命を脅かす疾病に関しては癌が一番対象になりやすいと思います。

主たる試験(生存を主要項目とした二重盲検比較試験のことが多い。)で、年齢や前治療歴で組み入れ条件と合わない、除外基準に適合する患者さんが対象となると思います。

開発会社としては効果が期待できないあるいは安全性に問題が起こることが予見できる場合に、組み入れ条件や除外基準を作成します。

未承認薬開発の臨床試験に悪影響を与えないことが、前提条件ですので、効果に関するデータは収集する必要はありません。

安全性に関してはデータを収集して、厚生労働省に報告する必要があります。

市販の際に添付文書に記載がある禁忌は、治験における除外基準を満たしているわけではありません。特に高齢者や軽度腎機能や肝機能の低下している患者では思わぬ副作用が出る場合があります。

第1相試験で肝臓や腎臓に影響があることが分かっている場合には、注意事項に記載がある場合もあります。

1%の確率でその副作用が発生する可能性がある場合には300例の患者で検討する必要があります。

治験全体でも2000~3000例が普通ですし、海外データがある場合には日本人では200~300例で申請が可能です。その中で、軽度の肝障害や腎障害のある人はもっと少ないですから、検出することは非常に難しくなり、市販後万オーダーの患者が使用して初めて分かる場合もあります。

拡大試験は開発メーカーにとっては市販後に初めて分かる副作用をあらかじめ知ることができるメリットがあります。

拡大治験は実施していることをホームページなどで告知する必要があります。

 

拡大治験が行われていない場合は?

個人が希望している場合は、病院を通じて、患者申出療養制度が拡大治験と同時にできています。

患者が、申し出る場合には2種類あります。全例がない場合と全例がある場合です。さらに全例がある場合でも、試験実施計画書の適格例に相当する場合(選択条件に合致し、除外基準に抵触していない)と不適格に相当する場合があります。

前例がない場合

国に申し出る必要があります。国が審査した後、結果が本人に通知が行きます。国がエビデンスが不十分と考えた場合には厚生労働省のホームページに公開します。

前例があり、患者が適格例の場合

臨床研究の中核病院に申し出て、臨床研究中核病院が判断し、厚生労働省がホームページでその結果を公表します。

全例があるが、患者が不適格例の場合

臨床研究中核病院に申し出て、国が審査し、本人に通知します。

 

まとめ

命に関わるような難病で、すぐに治療の必要がある場合に、人道的処置として規則上可能となったのが拡大治験です。

ベネフィットがリスクを上回っていることが判断できる条件として、拡大治験を行うためには主たる試験が終わっているか、主たる試験の組み入れが終了していることが必要です。

拡大治験が行われていない場合には、患者申出による治療も可能になっています。(審査があるので、100%できるわけではありません)

 

【参考資料】

厚生労働省令第九号 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令

厚生労働省 医薬食品局 審査管理課 医薬品等の審査及び治験に関する最近の動向について

https://www.pmda.go.jp/files/000203238.pdf

厚生労働省審議会資料 人道的見地からの治験参加の骨子

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000097784.pdf

厚生労働省審議会資料 患者申出療養について その2

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000097788.pdf

省令について参考URLを記載していないのは、近く変わる可能性があるためです。

図1

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Koseirodosho1.jpg

図2

https://pixabay.com/ja/%E5%8C%BB%E5%B8%AB-%E8%B5%A4%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93-%E5%AD%90-%E8%8B%A5%E3%81%84%E3%81%A7%E3%81%99-%E3%83%98%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%A2-%E6%82%A3%E8%80%85-%E3%81%8A%E3%82%82%E3%81%A1%E3%82%83-%E6%B2%BB%E7%99%82-870361/


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