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内皮細胞とDDP-4阻害剤

DDP-4阻害剤は2006年2月に製造販売承認を受けたシタグリプチンリン酸塩水和物錠に始まって、多くのDDP-4阻害剤が薬価収載となっています。2015年には週1回投与で済む経口薬も薬価収載となりました。

DDP-4は小腸内皮細胞が放出するインクレチンを分解する酵素です。DDP-4はその酵素を阻害するものです。

小腸のインクレチンはインスリン分泌を促進することからDDP-4阻害剤は、糖尿病治療薬として使用します。

しかし、どのDDP-4阻害剤はインクレチンの分解を阻害しますが、内皮細胞にも作用があります。この作用はDDP-4阻害剤によって差があることが明らかになっています。

インクレチンの作用

糖を経口投与した場合と静注したときに、インスリンの分泌が経口投与したときに高くなることが分かっています。この現象は小腸からでるインクレチンがインスリンの分泌を促進していることの反映です。インクレチンは、インスリン分泌促進以外に、グルカゴン分泌の抑制、胃から食物を腸に排泄することを抑止し、中枢では食欲抑制に働きます。

人間の体は血糖を下げる仕組みはインスリンだけです。血糖を上げる仕組みはすい臓のグルカゴンだけでなく、筋肉、肝臓などあらゆる臓器で存在します。これは脳のブドウ糖消費が止まると直接脂肪に至ります。

そのため、インクレチンはDDP-4(dipeptidyl peptidase-4)によって早期に分解を受けて、その効果を失うことになります。その点に目をつけて、インスリンの分泌を促進することを作用機序として糖尿病に使うのがDDP-4阻害剤です。

酵素と臓器の関係

酵素や受容体は存在する臓器によって機能が異なります。例えばヒスタミン受容体は胃では胃酸分泌を促進する効果があります。鼻粘膜やのどの粘膜にあるヒスタミン受容体はアレルギー症状を示します。脳のヒスタミン受容体は眠気を誘います。

この臓器による差は臓器受容体特異性をもった阻害剤を使用することにより、他の臓器で効果を抑える臓器特異性をもつ薬剤の方が使いやすい医薬品と言えます。

インクレチンも前述の様にすい臓以外に胃や脳に働きます。この作用はすべてが糖尿病の改善につながるので、抗ヒスタミン剤のような特異性の検討はほとんどありません。

DDP-4阻害剤による内皮細胞に対する影響

DDP-4は内皮細胞において過剰になると、内皮間葉移行(Endtohelial-to-Mesenchymal Transition:ENDMT)が活発になります。これは血管内皮細胞の安定性を失い、線維芽細胞へと分化してしまいます。この間葉系細胞はがんの成長や転移に関係していることから、内皮間葉移行はがん治療のターゲットとなっています。

DDP-4阻害剤はまさにその作用を有していると考え、いくつかのDDP-4阻害剤で検討を行ったところ、内皮間葉移行を阻害する薬物と阻害しない薬物が存在することが分かりました。

今のところ、血管内皮をシャーレの中での内皮細胞のDDP-4活性の制御と内皮間葉移行を抑えるものと抑えないものがあることが分かった段階です。

DDP-4阻害剤のがん予防効果

作用機序は不明ですが、糖尿病治療を長期間行ったときにメトホルミンで治療した群は、がんになるリスクが減っていたという疫学的なデータがあります。

糖尿病はがんのリスクであるとの疫学的データがあることから、糖尿病用薬ががんの予防効果をもつことは非常に好ましいことです。メトホルミンはその点で期待できますが、二重盲検比較試験で試験を行い、効果を確かめる必要があります。ビタミンEの様に、試験管、疫学試験で抗酸化作用がありましたが、二重盲検比較試験では効果を認めなかったという例があるので、楽観視は危険です。特に糖尿病用薬に共通の低血糖のリスクがあるため、使用には注意が必要です。メトホルミンには貧血、白血球、血小板低下の副作用がまれに起こります。血球に関する副作用は死亡につながる可能性があります。

DDP-4阻害剤のメーカーも積極的に疫学的なデータを収集する価値はあるかと思います。

 

【資料】

  1. Koya et al. “Linagliptin but not Sitagliptin inhibited transforming growth factor-β2-induced endothelial DPP-4 activity and the endothelial-mesenchymal transition.” Biochemical and Biophysical Research Communications Available online 27 January 2016. doi:10.1016/j.bbrc.2016.01.154

 

L. Meei-Shyuan Lee et al. “Type 2 diabetes increases and metformin reduces total, colorectal, liver and pancreatic cancer incidences in Taiwanese: a representative population prospective cohort study of 800,000 individuals” BMC Cancer201111:20

DOI: 10.1186/1471-2407-11-20

 

  1. Donghui et al. “Antidiabetic Therapies Affect Risk of Pancreatic Cancer.” Gastroenterology 137 (2) 2009.


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